高齢者施設でのおやつタイムは、単なる「間食」の時間ではありません。食事と食事の合間に提供されるおやつには、栄養の補完、生活の楽しみ、コミュニケーションのきっかけなど、さまざまな役割があります。特に高齢者にとっては、「食べること」が日々の生活の中で大きな喜びであり、心身の健康を支える柱のひとつです。

今回のコラムでは、利用者の健康と笑顔を支える「おすすめのおやつ・デザート」について、わかりやすくご紹介していきます。

 

 

栄養補給の手段

 高齢者は加齢により食が細くなり、1回の食事で必要な栄養素を摂取しきれないこともあります。おやつは、その不足分を補う「第4の食事」として有効です。特に、たんぱく質・カルシウム・ビタミン類などが不足しがちな栄養素です。さらに、間食により1日の摂取エネルギーが安定し、体力維持や免疫力の向上にもつながります。

食欲の刺激と維持

 高齢になると、加齢や疾患、薬の副作用によって食欲が低下しやすくなります。美味しいおやつは「食べたい」という意欲を高め、結果として1日の総摂取量の増加につながります。

口腔機能の維持・訓練

 やわらかすぎる食事に慣れてしまうと、咀嚼力や嚥下力が低下してしまうこともあります。おやつの中に「噛む」「飲み込む」といった機能を適度に刺激する要素を取り入れることは、口腔機能維持にもつながります。たとえば、やわらかいクッキーやムース状のデザートでも、適度なテクスチャー(食感)の工夫で嚥下リハビリの一環とすることができます。

心理的な満足感・楽しみの提供

 食べる喜びは、生活の中での大きな楽しみの一つです。甘いものを食べたときの幸福感や、季節を感じる和菓子などは、心の安定や会話のきっかけにもなります。おやつは「生活の彩り」としての役割も持っており、精神的な充足感や生活意欲の向上につながる貴重な存在です。

 

おやつ選びで大切なポイント

嚥下・咀嚼能力への配慮

 高齢者には、咀嚼・嚥下機能に個人差があります。とろみをつける、やわらかく調理するなどの工夫で、誤嚥や窒息のリスクを軽減しましょう。必要に応じて、「きざみ食」や「ムース状」のおやつにするのも有効です。また、提供前に食形態の確認を行い、個別対応を徹底することで、より安全な提供が可能になります。

栄養価バランスの確保

 エネルギーやたんぱく質が摂取できるおやつは、低栄養予防に役立ちます。牛乳、豆腐、卵、きなこ、ヨーグルト、チーズなどを使ったレシピはおすすめです。最近では、栄養強化された介護用デザートも市販されており、手軽に取り入れることができます。特にたんぱく質補給を意識した設計のスイーツは、筋力維持やフレイル予防にも有効です。

味・見た目・香り・季節感の工夫

 食欲をそそる見た目や香りは、食べる楽しみを高め、心理的な満足感を与えてくれます。色彩豊かで季節を感じられるおやつは、視覚的な刺激にもなります。春なら桜餅、夏なら水ようかん、秋なら栗のお菓子、冬はいちごのショートケーキなど、旬の食材や伝統行事に合わせた演出も大切です。見た目の楽しさや器の工夫によって、「今日はどんなおやつかな?」というワクワク感も演出できます。

既往歴への配慮

 糖尿病や腎疾患など、持病のある方には成分制限のあるおやつが必要です。市販品を使用する際は、成分表示を確認し、適切な選択を心がけましょう。低糖質、低リン、低カリウム設計の食品を活用することで、安心して楽しめるおやつ時間が実現します。

 

提供方法の工夫で、さらに楽しいおやつタイムに

季節感や行事食を取り入れる

 ひな祭り・敬老の日・クリスマスなど、行事にちなんだおやつを用意すれば、特別感が増します。食材や器、盛り付けの工夫で、五感にうったえる演出を。施設内装飾やBGMとの連動も、空間全体の雰囲気を高めてくれます。

レクリエーションと組み合わせる

 入居者と一緒に白玉を丸めたり、フルーツを盛りつけたりする簡単な調理レクは、指先の運動にもなり、認知機能刺激にも効果があります。自分で作ったおやつを食べる喜びは、達成感や自己肯定感にもつながります。

喫茶風・屋台風の雰囲気づくり

 テーブルクロスや季節の小物を使って、いつもと違う雰囲気を演出しましょう。メニュー表をつけたり、スタッフが「ウェイター風」に提供するだけでも非日常感を演出できます。また、「選べる楽しさ」も演出できるように2~3種類から好みで選んでもらうのもおすすめです。

おやつの「語らい」タイム

 おやつを食べながら、昔の食文化や思い出話を語り合う「食の回想法」も、心を温めるコミュニケーションになります。家族や地域の味をテーマにすれば、入居者一人ひとりの人生に寄り添った会話が生まれやすくなります。

 

まとめ

 高齢者施設におけるおやつは、栄養補助、心の安定、生活の質(QOL)の向上など、多面な役割を持っています。単なる”甘いもの”としてではなく、健康と江笑顔をつなぐ大切な時間として位置づけることが、よりよい施設運営につながります。

 

 

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