高齢者の健康と健康寿命を保つためには、フレイル予防が重要です。

フレイルは筋力の低下、体力の減退、身体バランスの悪化などを特徴とする状態であり、日常生活(QOL)の質を低下させる可能性があります。

適切な栄養摂取は、フレイル予防の需要な要素として認識されています。

今回のコラムでは、フレイルを予防する食事について書いてみました。

 

 

フレイルとは

フレイルとは、高齢者の身体機能が低下し、健康状態が悪化する状態を指します。この状態は、筋力の低下、体力の減退、バランスの悪化、認知機能の低下など、さまざまな要素によって引き起こされます。

そして、高齢者の日常生活の活動能力を低下させ、転倒や骨折などのリスクを高める可能性があります。フレイル予防のためには、栄養素に配慮し、栄誉バランスのとれた食事が重要です。

 

食事は「さあ、にぎやか(に)いただく」

フレイル予防の食事の合言葉「さあ、にぎやか(に)いただく」は、東京都健康長寿医療センター研究所が開発した食品摂取の多様性スコアを構成する10の食品群の頭文字をとったものです。ここでは、この合言葉の中身を紹介します。

 

 

・・・魚  動物性タンパク質やカルシウム、ビタミンD 【魚、イカ、タコ、貝類、干物など】

・・・油  適度な油脂分は、細胞などを作るのに必要 【サラダ油、バター、ゴマ油など】

・・・肉  良質なタンパク質の代表 【牛、豚、鶏、ハムなど】

・・・牛乳 タンパク質とカルシウムが豊富 【牛乳、チーズ、ヨーグルトなど】

・・・野菜 ビタミンや食物繊維を充分に摂れる 【ほうれん草、トマト、人参、南瓜など】

・・・海藻(キノコ) 低エネルギーでもミネラルと食物繊維が豊富 【わかめ、昆布、海苔、椎茸など】

・・・芋 糖質でエネルギー補給。ビタミン、ミネラルも含む 【じゃがいも、さつま芋、里芋、山芋など】

・・・卵 いろいろな調理法で簡単にタンパク質が摂れる 【鶏卵など】

・・・大豆 タンパク質の元になる。必須アミノ酸やカルシウムも豊富 【豆腐、納豆、油揚げ、豆乳など】

・・・果物 ミネラル、ビタミンが多く、食物繊維も摂れる 【りんご、みかん、バナナ、苺など】

 

上記10品の食品群のうち、1日の食事の中で最低でも4品以上、できれば7品以上を食べることを目指しましょう。多様な食品を食事に取り入れ、適切な食事回数と間食を心がけることが重要です。また、水分摂取や適度な運動も合わせて行う意ことでフレイル予防効果が高まります。

 

フレイル予防のための栄養素

フレイル予防のためには、特定の栄養素の摂取が重要です。下記にまとめてみました。

 

・タンパク質

筋力の合成と修復に不可欠な栄養素であり、フレイル予防には特に重要です。タンパク質を豊富に含む食品としては、肉、魚、乳製品、卵、大豆製品などがあります。

高齢者が1日に必要なタンパク質の量の目安として、1.0~1.2g×体重(㎏)が推奨されています。体重50㎏の人ならば、タンパク質は50~60gが必要量の目安です。

 

・ビタミンD

重要な栄養素であり、骨密度を向上させることで転倒のリスクを低減する効果があります。ビタミンDは、魚、卵、きのこ類に多く含まれます。

高齢者が1日に必要なビタミンDは8.5㎍が目安とされています。一方で、ビタミンDha過剰摂取による健康障害が起こるリスクもありますので、注意しましょう。

 

・ビタミン類(ビタミンC、ビタミン)

ビタミンCやビタミンEなどの抗酸化ビタミンは、細胞の酸化ストレスを軽減し、筋肉の健康をサポートします。これらの栄養素は、果物(特に柑橘類)、野菜(特に色鮮やかな野菜)、ナッツ類、種子、オリーブオイルなどに含まれいます。

高齢者が1日に必要なビタミンCは推奨量で100mg、ビタミンEは目安量で6.5~7.0mgとされています。

一方で、ビタミンEは体内に留まりにくいので過剰症は、ほぼ無いと言われていますが、何らかの過剰摂取による健康障害が起こるリスクもあるので、注意しましょう。

 

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・オメガ3脂肪酸

オメガ3脂肪酸は、炎症を抑制し、筋肉の損傷や筋力の低下を防ぐ効果があります。

魚(マグロ、サバ、ブリ、サンマ、イワシ)、ナッツ類、亜麻仁油、えごま油などの食品に多く含まれています。

高齢者が1日に必要なオメガ3脂肪酸の摂取目安の量は、1.8~2.2gです。過剰摂取による健康リスクについては、一部のデータでは、過剰摂取が有害になる可能性を示していることが報告されています。

 

まとめ

いかがでしょうか?

最後に、食事だけでなく社会的なつながりや心の健康もフレイル予防には寄与します。適度な身体活動や認知活動、ストレス管理、良質な睡眠など、総合的なアプローチが重要です。また、定期的な健康チェックや医師の診断を受けることも推奨されています。

フレイルは高齢者にとって重大な課題ですが、適切な栄養摂取と健康的なライフスタイルの習慣を取り入れることで、予防や進行の遅延が可能です。食事は、その中でも重要な要素であり、バランスの取れた食事を実践するることは、フレイル予防に向けた健康的な生活の基盤となります。

 

 

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