緩和ケアにおけるデザートがもたらす心のケアとは - 業務用デザート・業務用スイーツ.com

2023/09/04

緩和ケアは、患者さんの生活の質を向上させる重要なアプローチとして注目を集めています。

医療の進歩により、難病や末期疾患を患う方々に対するケアが進化してきました。

そして、その中でも食事やデザートは患者さんの快適さや喜びを提供する重要な要素となっております。

今回のコラムでは、緩和ケアにおけるデザートの役割について書いてみます。

緩和ケアとは

WHO（世界保健機関）の緩和ケアの定義（2002年）として、「緩和ケアとは、生命を脅かす疾患による問題に直面している患者さんと、そのご家族に対して、痛みやその他の身体的問題、心理社会的問題、スピリチュアルな問題を早期に発見し、的確なアセスメントと対処を行うことによって、苦しみを予防し、和らげることで、QOLを改善するアプローチである。」と定義されております。

緩和ケアは、基本的には担当の医師や看護師から受けますが、必要に応じて、さまざまな職種の人がチームとなって支えてくれます。他に、薬剤師、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士、心理士、ケアマネージャー、ソーシャルワーカー、管理栄養士などがチームに携わってくれます。

また、緩和ケアを受ける場としては大きく、通院、入院、在宅療法の３つに分けられます。

緩和ケアは、苦痛を和らげる医療・ケアですので、診断早期から始めるべきとも言われております。

栄養管理の必要性

前述したように緩和ケアの役割は、患者さん及びその家族のQOLを改善することにあります。

その中でも「食べる」ということは、人間の食欲を満たすものであり、生きる上で幸せを感じれる行為です。つまり、食事をする喜びを感じることはQOL改善に非常に重要です。

ただ、患者さんは食欲不振、味覚障害、嚥下機能低下などの要因により、思うように食事がとれないケースが多々あります。

患者さんの「食べる」ことのQOLを向上させるため、緩和ケアの一環としての栄養管理が必要となってきます。

デザートの役割

食事は、緩和ケアにおいても重要な位置を占めます。特にデザートは、患者さんの心を温かくし、楽しい気持ちをもたらす重要な役割を果たします。

デザートは、単なる栄養摂取だけでなく、患者さんの好きな味や香りを楽しむ手段として、心のケアにつながります。

甘い香りや美しい見た目は、食欲を刺激し、食事の楽しみを高めることができます。

また、病気や治療によって食欲不振になっている患者さんにとって、デザートは少量でも楽しめる美味しい食べ物です。

甘い味、滑らかな食感、冷たいもの、温かいものは食事をとるのが難しいときでも喜びを感じられるチャンスを提供します。病気と向き合う辛い瞬間でも、デザートを通じて少しでも幸せを感じることができると考えております。

さらに、デザートは心の温かさを伝える手段としても重要で、家族や友人が患者さんにデザートを用意したり、一緒に楽しだりすることで、いろいろな気持ちを表現できます。

デザートを通じて、笑顔を共有し、つらい状況にもかかわらず絆を深めることができるのです。

緩和ケアにおけるデザートの役割は、食べることだけでなく心を癒す大事な存在です。

デザートの選び方

緩和ケアにおいては、患者さんの状態や希望に合わせたデザートを選ぶことが重要です。

・咀嚼、嚥下機能が低下している場合には、その患者さんに合わせた柔らかさのデザートを選択する必要があります。

・治療などの影響で食欲不振の患者さんには、麺類、果物やゼリーなどの食べやすい食事やデザートを提供することがあります。

・治療によって吐き気が予想される場合には、治療前に軽い食事を提供するようにします。治療が終わってから数時間は、嘔吐を避けるために固形物の提供は控えましょう。食べられる状態に戻っても、胃の負担が少ないものを数回に小分けして食べる工夫も必要です。

・患者さんが食べたいものを提供しましょう。患者さん本人から「何を食べたいのか」をヒアリングし、希望の食事やデザートを提供します。全てを希望通りの食事やデザートを提供すると栄養が偏る恐れがあるので、例えば週１回程度と頻度を決めるようにします。この場合にも、咀嚼、嚥下機能が低下している患者さんに対しては、その患者さんに合わせた柔らかさに調整するなどの対策が必要です。