高齢者の健康維持に欠かせない「栄養バランス」。年齢とともに食欲や消化機能が低下し、気づかないうちに低栄養に陥ってしまうケースが増えています。こうしたリスクに対処するために有効なのが、「食事バランスガイド」の活用です。

今回のコラムでは、低栄養の兆候や原因を解説しながら、高齢者でも無理なく取り入れられる食事バランスの工夫や具体的な実践方法をご紹介します。

 

 

高齢者における低栄養の現状とその影響

低栄養が引き起こす健康リスクとは?

 高齢者における低栄養が、身体全体に深刻な影響を及ぼします。最も顕著なのは筋力の低下や免疫力の低下です。これにより転倒やけがのリスクが増加し、回復にも時間がかかるようになるため、生活の質の低下を招きやすいです。また、免疫力が低下することで感染症にもかかりやすくなるため、健康リスク全般が高まります。さらに、脳や心臓など重要な臓器の機能低下にもつながり、認知症の進行や心疾患リスクの増加という形で影響が現れるケースも少なくありません。

どのようなサインで低栄養を見分けるか

 低栄養の初期サインとして、体重減少や食欲の低下が挙げられます。また、疲れやさすさや皮膚の乾燥、髪のつやがなくなるといった身体的な変化も見逃せません。高齢者の場合、これらの兆候は気づきにくいことがあるため、定期的な体重測定や栄養状態のチェックが重要です。具体的には、服が緩くなったり、日常的に疲れやすさを感じるようになった場合、低栄養が進行している可能性があります。こうした兆候に早めに気づくことで、適切な食生活の見直しや食事バランスガイドを活用した栄養改善が可能になります。

高齢者に特有の低栄養の背景

 高齢者が低栄養に陥りやすい背景には、さまざまな要因があります。年齢とともに食欲が低下しやすい傾向に加え、歯の消化機能の衰えが食事量の減少につながることが多いです。また、一人暮らしや介護が必要な場合、食事を準備する負担や摂取する栄養の偏りが原因となることもあります。農林水産省が推進する「食事バランスガイド」を活用することで、主食、副菜、主菜をバランスよく取り入れた食事作りが実現でき、こうした低栄養のリスクも軽減できます。さらに、適度なスイーツやデザートを加えることで、食事への楽しみを取り入れることも効果的です。

 

食事バランスガイドとは?基本を理解しよう

食事バランスガイドが作られた目的

 食事バランスガイドは、2005年に厚生労働省と農林水産省によって策定されました。このガイドの目的は、健康かつ豊かな食生活を送るために、1日に「何を」「どれだけ」食べればよいのかわかりやすく示すことにあります。わが国の「食事バランスガイド」は、バランスの良い栄養摂取を促すためのツールとして、多くの世代で活用されています。特に高齢者にとっては、栄養バランスを整えることで健康維持や低栄養の予防に大きく貢献するものとされています。

コマの形が示す意味と活用法

 食事バランスガイドは、特徴的な「コマの形」をしています。このコマは、日々の食事がバランスよく保たれているかを視覚的に理解しやすいようデザインされています。本体は主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の各料理を表し、それぞれが「体に必要な栄誉素」を補います。コマの軸は水分を意味し、ヒモは運動を象徴しています。つまり、バランスの取れた食事と適度な運動がそろうことで、コマを安定して回り続けます。この仕組みを活用することで、日常生活で無理なく栄養バランスを意識した食事が可能になります。

農林水産省「食事バランスガイドとは」 https://www.maff.go.jp/j/syokuiku/minna_navi/about/

農林水産省「「食事バランスガイド」について」 https://www.maff.go.jp/j/balance_guide/

高齢者向けに特化したポイントとは?

 食事バランスガイドは、すべての世代に適用できますが、高齢者には特有のポイントがあります。高齢者は食欲の低下や嗜好の変化が起こりやすく、これが低栄養につながる可能性があります。そのため、主菜でたんぱく質をしっかり補うことが大切です。また、副菜で野菜を多く取り入れ、ビタミンやミネラルの不足を防ぎます。果物やデザートを適度に取り入れることで、食事の楽しみを加えつつ、必要な栄養素を補給できます。さらに、牛乳・乳製品を積極的に摂取することで、骨粗しょう症の予防を図るのも重要なポイントです。高齢者に配慮した食事バランスガイドの活用は、介護や健康維持の助けにもなります。

 

高齢者のためのバランスの取れた食事とは

主食、副菜、主菜の適切な組み合わせ

 高齢者の健康を維持するためには、毎食において主食、副菜、主菜をバランス良く組み合わせることが大切です。主食ではご飯やパン、麺類などを選び、エネルギーの供給源となる炭水化物を摂りましょう。一方で、副菜は野菜や海藻を用いた料理を意識的に取り入れ、ビタミンやミネラル、食物繊維を補給することが重要です。そして主菜では魚、肉、大豆など、たんぱく質が豊富な食品を適量摂取し、筋肉の維持や免疫機能のサポートを目指しましょう。

農林水産省の示す「食事バランスガイド」によれば、1日の推奨量として主食は5~7つ(SV)、副菜は5~6つ(SV)、主菜は3~5つ(SV)とされています。これを参考にして、食事に含まれるそれぞれの項目を適切に揃えることが、栄養バランスを整える第一歩です。

野菜や果物の摂取量を増やすコツ

 高齢者は食欲の低下や嗜好の変化により、特に野菜や果物の摂取量が不足しがちです。しかし、十分なビタミンや食物繊維を摂取することが健康維持に直結します。野菜は煮物やスープ、蒸し野菜など、柔らかく調理することで食べやすくなります。また、フルーツはデザートや間食として取り入れることで、手軽に摂取量を増やせます。これらは「食事バランスガイド」を活用した栄養教育・食育実践マニュアルでも推奨されている方法です。目安として副菜(野菜)は1日5~6つ(SV)、果物は2つ(SV)が推奨されています。食事に一品追加する形で野菜のサイドメニューを取り入れたり、果物をスイーツに取り替える工夫が、毎日の食事に彩りを加えながら栄養バランスを整える助けとなります。

間食・飲み物の選び方で注意すべきこと

 高齢者にとって間食は、不足しがちな栄養素を補うチャンスとも言えます。ただし、間食で摂取する食品はカロリーや脂質が高すぎないものを選ぶことが重要です。例えば、ヨーグルトやナッツ、手作りの野菜スティックなどは栄養バランスを補いやすい良い選択肢と言えます。また、飲み物に関しても注意が必要です。甘味飲料やアルコールの摂取は控えめにし、水やお茶、低脂肪乳などをベースにするのがおすすめです。農林水産省が策定した「食事バランスガイド」は、水分の重要性にも触れており、食事中や食後に適切な水分補給をすることが健康を支える基本とされています。さらに、間食でカロリーが過剰にならないよう、1日200kcalを目安とすることが推奨されています。適度なスイーツを楽しむとも可能ですが、必要以上の摂取には注意し、健康的な食生活を心がけましょう。

 

家族や地域で支える食事づくり

家族で一緒に食事を楽しむ重要性

 高齢者にとって、家族と一緒に食事を楽しむことは健康維持の大きな助けとなります。食事を囲むことで会話が生まれ、食欲が増進しやすくなりだけでなく、気持ちの安定にもつながります。特に「食事バランスガイド」に基づいた栄養バランスの良い献立を共有することで、高齢者が必要な栄養を逃すことなく摂取できます。また、家族で食べる時間には、視覚的にも彩り豊かな副菜や果物、適量のデザートを加え、食事を楽しむ要素を増やす工夫が必要です。

地域で活用できる食事支援サービス

 高齢者の食生活を支えるためには、地域の食事支援サービスの活用も非常に重要です。多くの地域では、配色サービスや地域の食堂、デイサービスなどが提供されており、栄養バランスを意識した食事を手軽に利用できる仕組みが整っています。これらのサービスは、「食事バランスガイド」を活用したメニュー作りが行われている場合も多く、高齢者の健康維持に役立つよう配慮されています。また、地域独自の食文化や特産物を反映した献立が用意されていることもあり、食事をより楽しいものにしています。

専門家の力を借りる選択肢

 食事の栄養バランスについて不安がある場合は、専門家の力を借りることも選択肢の一つです。栄養士や管理栄養士は、「食事バランスガイドを活用した栄養教育・食育実践マニュアル」などを元に、個別の食事プランをアドバイスしてくれることがあります。特に、介護が必要な高齢者の場合には、介護職員が専門家と連携し、個人に適した食事内容を提案してくれる場合もあります。また、市長村によっては無料の栄養相談窓口が設置されていることもあり、食事をより楽しいものにしています。

 

食事バランスガイドを日常に活かすステップ

買い物リスト作りから始める食事改善

 高齢者が栄誉バランスの取れた食事を実現するためには、まず買い物リストを作ることが基本です。「食事バランスガイド」を参考に、主食、副菜、主菜、牛乳・乳製品、果物の5つの料理区分を意識しましょう。「農林水産省 食事バランスガイド」に記載されている1日の推奨量を把握し、それぞれの食材をリスト化することで、必要な栄養素を不足なく確保することが可能です。例えば、毎日の献立に応じて主菜を構成する魚や肉、たんぱく質源となる大豆製品、また副菜のための季節の野菜を考慮しましょう。また、適度に楽しむためのスイーツやデザートも計画的に取り入れることが、無理なく楽しい食事改善につながります。

毎日の食事記録でバランスチェック

 日々の食事記録をつけることは、食事バランスの改善に非常に有効です。記録を通して実際に摂取した栄養素を把握し、「食事バランスガイド」に示された栄養バランスと比較することで、不足している区分や量を確認できます。スマートフォンアプリや手帳を活用して、主食や副菜の量、牛乳や果物の摂取量を意識的に記録してみましょう。栄養バランスがよく取れている実感が得られると、健康への意識も高まり、継続的な改善につながりやすくなります。

無理なく長続きさせるコツ

 高齢者の食事改善を無理なく続けるには、楽しみながら取り組むことが大切です。「食事バランスガイド」を実践する中で、好みのメニューや調理法を取り入れたり、地域の特産品を活用したりする工夫が役立ちます。また、一人で継続するのが難しい場合は、家族と一緒に食事を楽しむ時間を作るか、地域の食事支援サービスを利用するのも効果的です。さらに食事を少しずつ改善していく小さな目標を設定することで、大きなストレスを感じることなく継続できます。何より、生活に即した無理のない方法を選ぶことが、健康的な食生活を維持する秘訣です。

 

まとめ

いかがでしょうか?

高齢者の低栄養は、見過ごされがちですが健康寿命を大きく左右する重要な問題です。「食事バランスガイド」を日常の食生活に取り入れることで、無理なく栄養を整えることができます。家族や地域、専門家のサポートを活用しながら、楽しく続けられる食事改善を目指しましょう。毎日の小さな積み重ねが、健やかな暮らしを支える大きな力となります。

 

 

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