きざみ食は、通常の食事を細かく刻んで提供するものを意味します。普通食を噛む力が衰えることで食することが難しくなった場合には食事の作り方などを変え、食べやすさに工夫が必要となってきます。

今回のコラムでは、きざみ食についてのメリット・デメリットも含めて、わかりやすく解説します。

 

 

きざみ食とは

きざみ食とは、咀嚼(噛む力)が衰えた方や歯がない人が噛まなくてもいいように、食材を細かくします。食材を刻む大きさは料理によっても違ってきますが、5mm~2cm程度が目安とされています。

また、食べる方の状態によって、刻む大きさを調整する事が大事なポイントです。飲み込む力に問題がなければ、大きめ(2cm)に切ったものを提供し、咀嚼能力の上限を確認してください。

咀嚼(噛む力)は衰えているが、飲み込む力や唾液の量などは通常であるという判断の方に向いているといわれる食事形態です。

一方、飲み込む力が弱くなっている場合や唾液の量が少なくなっている状態の方は、きざみ食の場合には誤嚥を起こす危険があるので、きざみ食ではないミキサー食やソフト食などを選択します。

 

 

きざみ食のメリット

きざみ食のメリットとして、食べ物を細かく刻むことで、食する人は噛む作業を省くことができるため、咀嚼の負担や口を開ける負担が軽減されるということがあります。

刻む大きさは、食べる方の噛む力(咀嚼)を確認しながら、食材を刻む大きさを調整していきます。

もう1つのメリットとして、きざみ食は普通の食材を細かく刻んだだけのものなので、元の食事と見た目が近く、流動食と比べても彩りや香り、食感なども楽しめるのが魅力です。食事は舌で味わうことだけでなく、目で見て楽しむようなこともありますので料理の見た目は食欲にも大きく影響すると考えます。

きざみ食を食べる方は、普通食に近い食事ができるため食欲を失いにくくなる効果と低栄養状態を防げると言われています。また、きざみ食は、何らか特別な調理方法が必要なミキサー食やソフト食などと違って、ご自宅でも簡単に作れるのもメリットと言えます。

 

きざみ食のデメリット

きざみ食のデメリットとして、固形食材のため誤嚥のリスクは無視出来ません。

食材を細かく刻んでいるため口の中や喉の奥でまとまらず、飲み込む力の低下している人にとっては、気管に食べ物を詰まらせるなど誤嚥のリスクが高まります。飲み込む力が低下している人や、唾液の量が少ない人には向かない食事形態です。

また、きざみ食にした食材が歯間にはさまるなどの状態もあるため虫歯になる可能性、挟まったままの食材を食事中以外のタイミングで飲み込んでしまい誤嚥を起こす可能性もあります。これを防止するために、きざみ食を食べた後の口腔ケアはしっかりと行うことは大事なポイントです。丁寧な口腔ケアすることで口内の細菌繁殖を防ぐことにもつながります。

そして、きざみ食は調理器具(包丁やまな板)を用いて、繰り返し細かく刻む作業を行うため、より一層、食中毒に注意が必要な調理です。

 

 

きざみ食の注意点

きざみ食を調理する場合と提供する場合に、誤嚥や食中毒などを起こさないために注意するポイントがありますので記載します。

食材を小さく刻むと、まとまりがなくなってしまい飲み込みにくい状況となります。食材にもよりますが、刻むことで食材から水分がなくなってしまい口の中でパサつきが起きることがあります。

これを防ぐために市販されているとろみ剤や片栗粉などを使用し、刻んだ食材にとろみをつけて口の中でのパサつきを無くし、食材にまとまりを持たせるなどの工夫が必要です。

きざみ食は、まな板や包丁を用いて繰り返し細かく刻む調理のため食中毒の菌が起きやすい状況となります。食中毒を防ぐには普通調理用と、きざみ食用の調理器具は別々で準備し、しっかりと消毒するなどの配慮が必要です。若者などと比較し、免疫力が低下傾向にある高齢者の食事であることを考慮し調理環境の衛生管理をより、徹底する必要性があります。

きざみ食を提供する場合の注意点として、きざみ食に限らず介護食といわれる食事(ソフト食・ミキサー食、嚥下食)の提供に際しては、いくつかの注意点があります。

特にきざみ食については、食する方自身の咀嚼もしくは飲み込む能力を超えた分量を食べてしまわないように注意しましょう。また、きざみ食を自ら食べられる高齢者の場合は、基本食事のそのものの介助は不要ですが、表情やしぐさにも注視していきましょう。

 

まとめ

最後に、この記事で紹介した内容を簡単にまとめておきましょう。

・きざみ食とは

◎咀嚼(噛む力)が衰えた方や歯がない人が噛まなくてもいいように、食材を細かくした食事形態

・きざみ食のメリット

◎、食べ物を細かく刻むことで、食する人は噛む作業を省くことができるため、咀嚼の負担や口を開ける負担が軽減される

・きざみ食のデメリット

◎固形食材のため誤嚥のリスクが無視できないので、特に注意する。

・きざみ食の注意点

◎作る場合の注意…刻むことで食材から水分がなくなってしまい口の中でパサつきが起きることもあります。市販のとろみ剤や片栗粉などを使用し、刻んだ食材にとろみをつけて食材にまとまりを持たせるなどの工夫が必要。

◎提供する場合の注意…食する方自身の咀嚼もしくは飲み込む能力を超えた分量を食べてしまわないように注意しましょう。

 

 

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