いつになっても食事の際のデザートというものは非常に楽しみなものです。
それは、高齢者となった際も同じことです。ただし、若い世代の人と同じようにデザートを食べるという考えではいけないこともあります。噛む力・飲み込む力に合わせて適切にメニューを考えていく必要があります。噛む・飲み込む力が弱くなった方におすすめな食品は嚥下食と呼ばれ、多くの病院・介護施設で利用されております。
この記事では、噛む力・飲み込む力が弱くなった高齢者の方におすすめな嚥下食と呼ばれる食品についてご紹介いたします。さらにデザートにおける嚥下食に関して嚥下食にしやすいデザート等をご紹介いたします。
嚥下食とは、病気や高齢化により飲み込みや咀嚼といった嚥下機能の低下がみられる方向けに、飲み込みやすいように形やとろみ等を調整した食事を指します。
日本摂食・嚥下リハビリテーション学会では、嚥下食を嚥下のレベルによって7段階に分類しています。
嚥下食のレベル
・嚥下訓練食品0j(最も嚥下能力が低い部類)
均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したゼリー。離水が少なく、スライス状にすくうことが可能なもの。
若干の送り込み能力があれば十分食べることが可能です。
・嚥下訓練食品0t
均質で、付着性・凝集性・かたさに配慮したとろみ水。(原則的には、中間のとろみあるいは濃いとろみのどちらかが適している)
若干の送り込み能力があれば十分食べることが可能です。
・嚥下調整食1j
均質で、付着性・凝集性・かたさ・離水に配慮したゼリー・プリン・ムース状のもの。
若干の食塊保持が問題なく、送り込み能力があれば食べられます。
・嚥下調整食2-1
ピューレ・ペースト・ミキサー食など、均質でなめらかで、べたつかず、まとまりやすいもの。スプーンですくって食べることが可能なもの。
下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力が必要になります。
・嚥下調整食2-2
ピューレ・ペースト・ミキサー食などで、べたつかず、まとまりやすいもので不均質なものも含む。スプーンですくって食べることが可能なもの。
下顎と舌の運動による食塊形成能力および食塊保持能力が必要になります。
・嚥下調整食3
形はあるが、押しつぶしが容易、食塊形成や移送が容易、咽頭でばらけず嚥下しやすいように配慮されたもの。多量の離水がない。
舌と口蓋間の押しつぶし能力以上の能力が必要になり、比較的咀嚼能力が高い人向けになります。
・嚥下調整食4(最も咀嚼能力がある方向け)
かたさ・ばらけやすさ・貼りつきやすさなどのないもの。箸やスプーンで切れるやわらかさ。
上下の歯槽提間の押しつぶし能力以上が必要になります。
出典:日本摂食嚥下リハビリテーション学会 嚥下調整食委員会「日本摂食嚥下リハビリテーション学会嚥下調整食分類 2021」
https://www.jsdr.or.jp/wp-content/uploads/file/doc/classification2021-manual.pdf?0917
という区分が存在しております。厳密に認識する必要はありませんが、高齢者の咀嚼能力に合わせて、適切な嚥下食を用意するために目安として知っておくとよいでしょう。
ここでは、嚥下食とは何かということについてご紹介いたしました。
嚥下食(デザート)における注意点
嚥下食は病院や介護施設にて、すりつぶしやとろみ剤の混ぜ合わせなどを行い完成させることが多いですが、嚥下食を作る際にいくつか注意点があります。嚥下食における注意点をご紹介いたします。
粒が口に残り誤嚥の原因にならないよう食塊をまとめる
刻み食はバラバラになってまとまりにくいため、ある程度厚みのある塊で、舌でつぶせるぐらいの柔らかさにします。喉への送り込みが難しい場合は、片栗粉やとろみ剤でとろみをつけるか、ゼラチンやゲル化剤でゼリー状にし、力を込めなくても喉へ送り込めるようにします。
水でもむせる場合はとろみをつける
水分でむせがみられる方は、とろみをつけます。サラサラすぎるとむせやすくなり、ドロドロすぎると引っかかりやすくなります。個人によってトロミの調節が必要になります。
やや濃いめの味付けにする
ムース、ゼリー状の食品は見た目や味が一緒になり、飽きられてしまう可能性もあります。好物の使用、感覚刺激を入れるためにやや濃いめの味付け、体温と温度差をつけること、食欲をそそる匂いや盛りつけを意識しましょう。
嚥下しにくい食品に気を付ける
とろみをつけたり、ゼリーやムース状にしたりことで、食べやすく飲み込みやすくすることが必要です。
嚥下しにくい食品の一例
- 水
- こんにゃくなど弾力性のあるもの
- おから、ひき肉などボロボロしているもの
- ゆで卵やほぐした魚、ふかし芋などのパサつくもの
- 酸味や辛味等の刺激物
嚥下食の注意点についてご紹介しました。
嚥下食にしやすいデザートとは
それでは、嚥下食としておすすめなデザートについてご紹介いたします。
ムース
嚥下食として代表的なのがムースです。果物等をすり潰した後、とろみ剤などを使って食べやすい、飲み込みやすくしたものをムースと呼びます。介護食でありながら、見た目や味、香り、食感も楽しむことができるのが特徴です。
ムースの加工方法はデザートだけでなく通常の食事を食べやすく加工する際にも用いられています。
プリン・ゼリー
高齢者のデザートとして想像しやすいのがプリン・ゼリーかもしれません。プリン、ゼリーは咀嚼があまりせずとも飲み込みやすい形状のため多くの高齢者が食べやすいと感じられるデザートかと思われます。更に材料によっては水分補給にもなるゼリーもありますので、特に夏場のデザートには適していると言えるかもしれません。
注意点としては、プリン・ゼリーをそのまま提供するのではなく、賽の目状に切り小さい粒にしてから提供することです。自分でスプーンにてすくって食べてもらうのでは小さい粒になりにくいので、こちらで小さい粒にしたものをあらかじめ提供するようにしましょう。
果物
「栄養も確実にとれるようにしたい」とお考えの皆様におすすめです。果物の味や食感をそのままに楽しんでいただけます。
噛む力に不安のある高齢者の方も多いかと思われますので、すりつぶしたりミキサーにかけたりして細かくして食べてもらうのがおすすめです。すりつぶしたのみでは喉にひっかかる可能性があるので、適宜とろみをつけるなどむせないための対応が必要です。
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まとめ
いかがでしたでしょうか?
高齢者でも安心して食べられる嚥下食のご紹介と、嚥下食としておすすめのデザートについてご紹介しました。
もう一度この記事でご紹介した内容を簡単におさらいしたいと思います。
- 嚥下食とは
- 飲み込みやすいようにとろみやムース状にした食品のこと
- 嚥下食(デザート)における注意点
- 粒が口に残り誤嚥の原因にならないよう食塊をまとめる
- 水でもむせる場合はとろみをつける
- やや濃いめの味付けにする
- 嚥下しにくい食品に気を付ける
- 嚥下食にしやすいデザートとは
- ムース
- ゼリー・プリン
- 果物
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