PFCバランスとは、人間が摂取する食事の中で、たんぱく質(Protein)、脂質(Fat)、炭水化物(Carbohydrate)の三大栄養素が占めるエネルギー比率を指します。

これらの栄養素は、体内でのエネルギー産生、細胞の構築や修復、体の維持機能など、生命活動に不可欠な役割を果たしています。これらの栄養素を適切な割合で摂取することが健康的な食事の基本とされています。

今回のコラムでは、PFCバランスの基本や役割、理想のバランスと重要性について書いてみました。

 

 

PFCバランスとは?

PFCバランスの基本

PFCバランスは1日の摂取エネルギーに対して、たんぱく質、脂質、炭水化物の割合が、どのくらいあるのかを示した指標です。

これらの3つの栄養素は一般的に3大栄養素と呼ばれており、エネルギーを作り出す栄養素として、この三大栄養素のたんぱく質、脂質、炭水化物が必要不可欠です。ここでは、P(Protein)たんぱく質、F(Fat)脂質、C(Carbohydrate)炭水化物の役割とバランスについて書き出してみました。

 

P(Protein)たんぱく質

たんぱく質は、私たちの体を構成するために欠かせない栄養素です。皮膚や筋肉、臓器、血色素、酵素、ホルモン、髪や爪、免疫たんぱく質などの構成成分や血液の浸透圧の維持などにも使われる栄養素です。体の様々な部分を作るために必要な栄養素であり、中でも、たんぱく質の摂取によって筋肉量を維持することは、基礎代謝や体温を維持することにも繋がり、健康維持に貢献します。例えば、運動する人は筋肉を鍛えるために、たんぱく質を多く摂取する必要があります。

適切なたんぱく質摂取量は、個人の活動レベルによって異なりますが、総エネルギー摂取量のうち13~20%です。1日の推奨量は、18歳~64歳の男性で65g、65歳以上の男性は60g、18歳以上の女性は50gが推奨量とされています。この推奨量は、体内の筋肉や臓器の修復や再生に必要なたんぱく質の量をカバーするために設定されています。

F(Fat)脂質

脂質は、細胞膜の構成要素として重要な栄養素であり、脳や神経系の機能にも影響を与えます。例えば、オメガ3脂肪酸は脳の健康に良い影響を与えられることが知られています。さらに、脂溶性ビタミン(A、D、E、K)の吸収を助ける役割も果たしています。

適切な脂質摂取量は、総エネルギー摂取量のうち20~30%程度が推奨されています。この割合は、細胞膜などの皮脂の原料となるほか、体温調整したり、脳機能の正常な動きをサポートするために重要です。

また、脂質であるショートニングやマーガリンのトランス脂肪酸などは健康に悪影響を及ぼす可能性があるものは避けて、えごま油やオリーブオイルなどの不飽和脂肪酸を選ぶようにしましょう。

 

C(Carbohydrate)炭水化物

炭水化物は、1gで4kcalのエネルギーを生み出す栄養素で炭水化物は食物繊維と糖質から出来ています。このうち食物繊維は、人間の酵素では消化されないためエネルギー源にはなりません。糖質は、ほとんどがブドウ糖(グルコース)に変化して主にエネルギー源として利用されて、特に脳や筋肉のエネルギー供給に重要な役割を果たしています。例えば、脳のエネルギー源は、ほとんどがブドウ糖となっています。運動する際には炭水化物が燃焼されてエネルギーとして使われます。

適切な炭水化物摂取量は、総エネルギー摂取量のうち50~65%程度が推奨されています。この割合は、日常生活や運動時に必要なエネルギーを確保し、体の機能を維持するために重要です。

 

ここまではPFCバランスの基本について解説しました。このPFCバランスを意識し、必要な栄養を余すことなく摂取することが健康を維持する食生活の基本であることをあらためて確認しておきましょう。

 

 

PFCバランスの役割

PFCバランスの役割の1つである生活習慣病の発症予防と重症化予防を目的とした上での割合が厚生労働省の「日本人の食事摂取基準(2020年版)」で示されています。ここでは、65歳以上の高齢者については、たんぱく質の下限値が高く示されております。

このPFCバランスは、目的がダイエットや筋肉量を増やす等の場合には、その目的にあった割合に変える必要があります。

厚生労働省の日本人の食事摂取基準(2015年版)からPFCバランスの名称は「エネルギー産生栄養素バランス」に変更になっていますが、このコラムではPFCバランスと書いています。

 

      厚生労働省「日本人の食事摂取基準(2020年版)」を引用

 

PFCバランスの理想と重要性

PFCバランスの理想バランスは、健康的な体重管理、疾病予防、体力や免疫力の維持に重要な指標となります。

例えば、PFCバランスが崩れると肥満や栄養不足リスクが高まります。理想的なPFCバランスは、個人の年齢、性別、活動レベル、健康状態などによって異なりますが、一般的には、総エネルギー摂取量のうち、たんぱく質が13~20%、脂質が20~30%、炭水化物が50~65%程度が推奨されています。

このバランスを意識することで、栄養過多や栄養不足を防ぎ、健康的な生活を送ることができます。これにより、体内の各機能が適切に維持され、健康的な体を維持することができます。

さらに、食事の中でのPFCバランスだけでなく、食事のタイミングや摂取方法も重要です。例えば、運動前後の食事内容やタイミングを工夫することで、パフォーマンス向上やリカバリーをサポートすることができます。

また、食事のバリエーションを豊富にすることで様々な栄養素をバランスよく摂取することができます。食事の準備や計画をする際には、PFCバランスだけでなく、食事全体の栄養バランスに配慮することが大切です。これにより、健康的な食生活を送ることができます。

一般的に糖質もしくは脂質のいずれかの摂取量を減らすダイエット法や体型のために、たんぱく質を中心とするトレーニング食を取り入れるなど特定の栄養素を増減する取り組みはPFCバランスを崩す主な原因となります。

ダイエットや運動を行う際にも栄養素が偏らないように注意してPFCバランスを整えることが重要です。

 

まとめ

いかがでしょうか?

PFCバランスは栄養の基本となるものです。ただ単に食事を食べるだけでなく、たんぱく質、脂質、炭水化物の適切な組み合わせが健康には欠かせず、それを意識した栄養摂取が健康維持や病気の予防につながります。

今回はPFCバランスの基本、役割、理想バランスと重要性について書いてみました。

ぜひ、普段の食事の中においてPFCバランスを意識しながら食事をとるようにしてみましょう。

 

 

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