今回のコラムでは、医療・老健施設の従事者の方々にはぜひお読みいただきたい内容で、「オーラルフレイル」について解説したいと思います。
オーラルフレイルとは?
オーラルフレイルとは、噛んだり、飲み込んだり、話をしたりするための口腔機能などが加齢などにより衰えて食の偏りなどが起きていることを指し、早期の重要な老化のサインとされています。始まりは滑舌低下、食べこぼし、わずかなむせ、噛めない食品が増える、口の乾燥など、些細な症状のため気づきにくい症状ではあります。
滑舌が悪くなることで人や社会との関わりの減少を招いたりすることから、全体的なフレイル進行の前兆となり、深い関係性が指摘されています。
オーラルフレイルの原因
主な原因は、加齢などによる筋力低下と歯の喪失などとされています。ものを食べるには、咀嚼力(嚙む力)と、嚥下力(飲み込む力)が必要ですが、加齢によって口まわりの筋力が低下し、歯の本数が減少すると、この2つの力が弱くなり、オーラルフレイルに陥ります。
改善するためには、早期に対処することが大事です。
咀嚼力には、口まわりの筋肉と歯の本数が関係しており、筋力低下の傾向に大きな男女差は見られません。一方、嚥下力については、男性のほうが加齢による低下が生じやすい傾向が見られます。
「8020運動」との関係
1989年(平成元年)から始まった「8020(ハチマルニイマル)運動」は80歳になっても20本以上、自分の歯を保とう」という運動です。これは、自分の歯が20本以上あれば、食生活にほぼ満足ができるといわれています。
そのため、「生涯、自分の歯で食べる楽しみを味わえるように」との願いを込めて、この運動が始まりました。「8020運動」の開始当初は達成者が数%前後でしたが、2017年の調査では達成者が50%を超えてきました。8020達成者は非達成者よりも生活の質(QOL)を良好に保ち、社会活動意欲があるとの調査結果や、残っている歯の本数が多いほど寿命が長いという調査結果もあります。
仮に8020を達成できなかった方も、しっかりと噛み合い、きちんと噛むことができる義歯(入れ歯)などを入れて、口の中の状態を良好に保つことで20本あるのと同時の効果が得られます。
オーラルフレイルのセルフチェックリスト
例えば、食事の際に1年前と比較して「好き嫌いで残しているのか?」「噛めないから残しているのか?」を確認してみましょう。「本当は好きだけど、噛めないから食べない」という場合は、オーラルフレイルの可能性があります。
質問事項 |
はい |
いいえ |
半年前と比べて硬いものが食べにくくなった |
該当した場合2点加点
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お茶や汁物でむせることがある |
該当した場合2点加点
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義歯を入れている ※ |
該当した場合2点加点
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口の乾きが気になる |
該当した場合1加点
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半年前と比べて、外出がすくなくなった
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該当した場合1加点
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さきいか。たくあんくらいの堅さの食べ物を噛むことができる |
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該当しなかった場合1加点
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1日に2回以上、歯を磨く
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該当しなかった場合1加点
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1年に1回以上、歯医者に行く
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該当しなかった場合1加点
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※歯を失ってしまった場合は義歯等を適切に使って堅いものをしっかり食べてたべることができるように治療することが大切です。
合計の点数が |
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0~2点 |
オーラルフレイルの危険性は低い |
3点 |
オーラルフレイルの危険性あり |
4点以上 |
オーラルフレイルの危険性が高い |
(公益社団法人日本歯科医師会 参照)
まとめ
いかがでしょうか?
オーラルフレイルを「年のせい」だからと諦めて放っておくと、悪循環に陥って、オーラルフレイルからフレイル、さらにサルコペニア、要介護状態、死亡にいたるリスクが高まるともいわれていますので、症状を見逃すことなく、改善に努めるようにしていきましょう。
今回は、「オーラルフレイル」とは?「オーラルフレイルの原因」、「8020運動との関係」、「セルフチェックリスト(公益社団法人日本歯科医師会参照)」」について書きました。
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